ブログ / 2026/10/24 · 約8分

個人事業主の帳簿のつけ方:青色申告65万円控除のための複式簿記と、よく使う仕訳例12

フリーランス・個人事業主が青色申告で 65 万円控除を受けるための複式簿記の帳簿のつけ方を、売上・入金・源泉徴収・経費・事業主貸と事業主借など、よく使う仕訳例 12 個で解説。会計ソフトと Excel の使い分け、年末にやる処理もまとめました。

青色申告で最大の 65 万円控除を受けるには、複式簿記で帳簿をつける必要があります。「簿記なんてやったことがない」という人でも、フリーランスの取引はパターンが限られているので、よく使う仕訳を覚えればほとんど対応できます。この記事では、複式簿記の考え方と、フリーランスがよく使う仕訳例 12 個、年末にやる処理を順に説明します。

複式簿記は「何が増えて、何が減ったか」を左右に書くだけ

複式簿記では、1 つの取引を「借方(左)」と「貸方(右)」の 2 つの面から記録します。たとえば「経費 5,000 円を事業用の口座から払った」なら、左に「消耗品費 5,000 円(費用が増えた)」、右に「普通預金 5,000 円(預金が減った)」と書きます。左右の金額は必ず同じになります。

左(借方)に書くもの右(貸方)に書くもの
資産が増えた(預金・売掛金など)資産が減った
費用が発生した(経費)収益が発生した(売上)
負債が減った負債が増えた(未払金など)
事業主貸(事業のお金を私用に使った)事業主借(私用のお金を事業に使った)

フリーランスがよく使う仕訳例 12

取引借方(左)貸方(右)
① 10 万円の請求書を出した(納品済み)売掛金 100,000売上高 100,000
② ①が全額振り込まれた普通預金 100,000売掛金 100,000
③ 源泉徴収 10,210 円を引かれて振り込まれた普通預金 89,790 / 事業主貸 10,210売掛金 100,000
④ 振込手数料 440 円を引かれて振り込まれた普通預金 99,560 / 支払手数料 440売掛金 100,000
⑤ 事業用口座からソフト代 3,300 円を払った通信費(または消耗品費)3,300普通預金 3,300
⑥ 個人のクレジットカードで書籍 2,000 円を買った新聞図書費 2,000事業主借 2,000
⑦ 事業用口座から生活費 20 万円を引き出した事業主貸 200,000普通預金 200,000
⑧ 個人の口座から事業用口座に 10 万円入れた普通預金 100,000事業主借 100,000
⑨ 事業用カードで交通費 1,200 円を払った(後日引き落とし)旅費交通費 1,200未払金 1,200
⑩ ⑨のカード代が事業用口座から引き落とされた未払金 1,200普通預金 1,200
⑪ 自宅の家賃 9 万円のうち 25% を経費にする(個人口座から払っている)地代家賃 22,500事業主借 22,500
⑫ 国民年金・国民健康保険・住民税を事業用口座から払った事業主貸普通預金

③の源泉徴収税は、確定申告で精算する所得税の前払いなので、経費ではなく「事業主貸」にします。⑫の国民年金・国保・住民税・所得税も個人の支払いなので経費にはならず、事業主貸です(年金・国保は確定申告で社会保険料控除になります)。

会計ソフトと Excel、どちらでつけるか

会計ソフトExcel・手書き
入力銀行口座・カードの明細を取り込み、仕訳の候補が自動で出る1 件ずつ手入力
帳簿と決算書仕訳から総勘定元帳・貸借対照表・損益計算書まで自動作成自分で集計して作る
e-Tax 提出作った決算書・申告書をそのまま送信できるものが多い確定申告書等作成コーナーに転記
費用年額で数千円〜数万円ほぼ無料
向いている人取引が月 20 件以上、口座・カードで支払うことが多い取引が少なく、簿記に慣れている

65 万円控除の効果は、所得税・住民税・国保を合わせて年 10 万〜30 万円ほどになります(青色申告の節税額シミュレーターで計算できます)。会計ソフトの年額を払っても、控除を受けられないより得になる人が多いはずです。

年末(12 月 31 日)にやる処理

  1. 納品済みで未入金の売上を「売掛金」で計上する(12 月に納品して 1 月に入金される分も今年の売上)
  2. 家賃・光熱費・通信費などの家事按分を仕訳する(⑪のように)
  3. 10 万円以上のパソコンなどは原則として減価償却する(青色申告には少額の資産を一括で経費にできる特例がある。条件は国税庁の案内で確認)
  4. 事業用口座の残高と帳簿の「普通預金」の残高が一致しているか確認する
  5. 貸借対照表を作り、事業主貸・事業主借・前年の利益を「元入金」に振り替えて翌年に繰り越す(会計ソフトなら自動)

よくある質問

事業用の口座やカードは分けたほうがいい?

義務ではありませんが、分けることを強くおすすめします。事業用と私用が混ざっていると、すべての明細を 1 件ずつ仕分けることになり、事業主貸・事業主借の仕訳も増えます。事業用の口座とカードを 1 つずつ作り、売上の入金と経費の支払いをそこに集めるだけで、帳簿づけの手間が大きく減ります。

事業主貸・事業主借は経費になりますか?

なりません。事業主貸は事業のお金を個人のために使ったこと、事業主借は個人のお金を事業のために使ったことを記録する科目で、どちらも所得の計算には影響しません。年末に元入金に振り替えて、翌年はゼロから始めます。

帳簿はいつつければいい?

理想は週 1 回、遅くとも月 1 回です。1 年分を確定申告の直前にまとめてつけると、領収書が見つからない、何の支払いか思い出せないといったことが起きます。会計ソフトで明細を取り込む場合も、月 1 回は内容を確認しておくと、年末の処理がすぐ終わります。

青色申告にするといくら得か計算する(無料ツール)

売上と経費を入れるだけで、白色申告と比べて青色申告(65 万・55 万・10 万円控除)で所得税・住民税・国保がいくら下がるかを計算します。

青色申告の節税額シミュレーターを開く家事按分も計算する

勘定科目の名前は、会計ソフトや人によって違うことがあります(例: ソフト代を「通信費」「消耗品費」「支払手数料」のどれにするか)。毎年同じ科目を使い続ければ問題ありません。個別の判断は税務署または税理士にご確認ください。

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